今年度は、看護領域における医療安全教育のコンピテンシーの構成要因の探索と現状を検討することを目的に、日本における医療安全教育の同湖について情報収集を行った。その概要について報告する。現在、医療安全教育の推進は、厚生労働省の医療安全対策検討会議等により方向性が示され、それらの方向性に沿って全国の病院で行われている。医療安全の組織だった強化としては、全国的に専従の医療安全管理者をおいて組織的に医療安全に取り組むことによって得られる医療安全加算の設置(平成18年4月の診療報酬の改定)が大きな後押しになった。この診療報酬の加算によって、急速に組織強化が高まった。それに伴い、医療安全管理者の専門的訓練の課題と病院全体の医療安全の質の向上が課題となっている。これは、継続的課題である。病院における医療安全の充実としては、まず、医療安全管理者の業務内容の明確化と専門性のスキルアップが必要となる。現在、明確に示されているものとしては、安全管理体制の構築、医療安全に関する職員への教育・研修の実施、事故防止のための情報収集・分析・対策立案フィードバック・評価、医療事故への対応、安全文化の醸成である。これらは非常に大きな枠組みであり、各病院よって内容の充実にばらつきがみられ、医療安全管理者は目の前のインシデント等の対応に追われ、その病院の具体的な方向性を提示できないまま、日々管理業務を行っている現状がある。この現状の中で、求められる。コンピテンシーは、医療の専門的知識や技術、他分野から学ぶ医療安全関連の知識や技術、医療者としての責務と倫理、医療者間、患者と患者家族との信頼関係構築のためのコミュニケーション能力、病院内の医療安全に対する規則との遵守行動に構造化され、今後これらの詳細について整理していく必要があることが示唆された。
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