2010年12月、医療安全教育のコンピテンシーに関する状況を、医療の専門的知識や技術、他分野から学ぶ医療安全関連の知識や技術、医療者としての責務と倫理、医療者間、患者と患者家族との信頼関係構築のためのコミュニケーション能力、病院内の医療安全に対する規則との遵守行動の枠組みを参考にして、看護職者の医療安全教育の実態を調査した。対象は全国の200床以上の病院2726施設に行った。分析対象は、407件である。調査内容は、病院の設置主体、認定や指定の評価、規模、リスクマネージャーの属性、医療安全教育の到達目標の有無、到達目標の49項目の設定の有無と到達度、安全教育研修58項目の研修実施の有無、研修の形態、到達状況を選択的回答で求めた。また、各病院で医療安全の到達目標の具体と、医療安全教育を進めていくにあたって苦慮している内容について自由記載で回答を求めた。結果、平均病床数は372.8±175.8床であった。分析地域は関東が24。6%と最も多いが回収数に地域の大きな偏りはなかった。開設者は公的医療機関35.4%、医療法人33.4%と2分した。病院独自の教育目標は、187件(45.9%)が設定していた。具体的な目標を分類した結果、多い順から、「医療事故減少、防止」「安全な医療提供」「医療安全研修」「医療安全組織」「医療安全文化の醸成」「マニュアル」「職員の意識」「患者の医療安全参加」「5S活動」の内容に分かれた。49項目の医療安全教育目標の到達状況は、4段段階評定で得点が3.0以上の項目は、16項目が該当した。得点が最も高い項目は、「インシデント(ヒヤリハット)事例や事故事例の報告を速やかに行う(3.4±1.7)」であった。ついで「薬剤を適切に請求・受領・保管する」「血液製剤を適切に請求・受領・保管する」「守秘義務を厳守しプライバシーに配慮する」が続いた。得点が低い項目は、「自己評価及び他者評価を踏まえた自己の学習課題を見つける」「課題の解決に向けて必要な情報を収集し解決に向けて行動する」「学習の成果を自らの看護実践に活用する」の2.5±0.7であった。その他の結果は「看護職員に対する医療安全教育に関する実態調査報告書」に記した。
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