この研究の具体的な目的は、「看護過程エンジン」を考案することである。1年目である本年度は、IからIIIまである全体スケジュールのうちのフェーズI「標準看護計画検索システムの検討と評価」の工程である。検索システムのデータ構成の吟味と、これを計算機に搭載したときの出力/入力のパフォーマンス評価を行う予定であった。 標準看護計画検索システムのデータ構成はディレクトリ検索型エンジンである。大項目>中項目>小項目へと分類整理されており、ある一つの末端選択肢にいたるルートはひとつ、すなわち単射である。パフォーマンスの計測では、この情報のたどり方をネットワークにおけるルーティングとみなした。ディレクトリ型のネットワークはスタティックルーティングで、検索結果に変化は見られない。また、キーワードの配列の工夫などにより速度が向上することはほとんど見込めないと予想している。 構成の吟味については、情報の流れる向きに注目している。患者が抱える看護問題を導出してそれに適した看護計画を作成するというプロセスをなるべく単純なアルゴリズムで記述することには、看護の科学としての説明力を増し、また計算機で処理しやすくなる意義がある。このディレクトリ型の検索の方向は、演繹的に展開する看護アセスメントの実践と比較した場合、思考の流れが逆向きであり、その向きが固定されている。知識を持つナースが複数の選択肢の中から患者の状況として可能性が高いものを選択するという場合にはアセメントの過程を表現できているかもしれない。しかし、経験や知識が少なく、学習の過程にあるプリセプティーナースにとっては、出発点が見つけにくく、活用が難しいと考えられる。 サーチエンジン最適化:SEOから見た検索結果の柔軟性を実験的に計測するところまでが目標であったがそこまでは至っていない。これは次年度前半までに行う予定である。
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