この研究の具体的な目的は、「看護過程エンジン」を考案することである。2年目である本年度は、IからIIIまである全体スケジュールのうちのフェーズI「標準看護計画検索システムの検討と評価」の工程を昨年に引き続き行った。 標準看護計画検索システムのデータ構成はディレクトリ検索型エンジンである。大項目>中項目>小項目へと分類整理されており、ある一つの末端選択肢にいたるルートはひとつ、すなわち単射である。パフォーマンスの計測では、この情報のたどり方をネットワークにおけるルーティングとみなした。ディレクトリ型のネットワークはスタティックルーティングで、検索結果に変化は見られない。また、キーワードの配列の工夫などにより速度が向上することはほとんど見込めないと予想している。 今年度はこのようなディレクトリ型の検索エンジンと対照的な構成のシステムとして、wiki(PukiWiki)を利用した学習サイトの構築をローカルLAN内に設置した。ツールとしてPukiWikiを選択した理由は、HTMLの知識をほとんど必要とせずにキーワードにハイパーリンクを設定したページを容易に作成できること、全文検索が容易であること、すべてテキストベースであるゆえ携帯電話からの操作も軽快であること、設置にSQLなどのデータベースの知識がほぼ不要であること、Webサーバの設定に関する知識がほぼ不要であることである。筑波大学看護学類学生の基礎看護学実習にてこれを運用し、データの蓄積と実際の参照のされ方を分析する予定である。また、基盤研究(A):22249067「臨床応用に向けた遠隔看護システムの開発」でのeラーニングシステムのコンテンツ作成と関連付けながら、臨地場面での応用性を検証する。
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