平成22年度は、本研究の第二段階である全国大学への調査を行うという計画であった。しかし、全国調査の前に3年次編入生の大学での学習課題に対する認識と教育による変化を把握し、対象群に対する更なる理解を深める必要性があると判断し、分析を行った。その結果、編入生の学士課程入学直後における課題に対する認識は、看護実践をより良くするための専門知識の獲得など看護実践者としての課題を自覚していた。3年次を修了し、普遍科目、専門基礎科目、専門科目など履修がすすむと、科学的な根拠を据える思考過程の習得や自己評価することが意識化されていたがその困難さを実感していた。ここから臨床経験をもつ編入生は看護学の修得状況を自己評価し、学習課題を自ら定めることを困難とすることが示唆され、平成21年度の研究結果を重ねると編入生の学ぶことへの意識の高さを尊重したプログラムの開発が必要であると考えた。また、教育内容の具体的な検討として模擬患者を活用した演習がどのような教育効果をもたらすのかについて検討した。これにより、看護学を修得するを分析する視点の意義を明らかにした。 以上から研究結果を踏まえ、3年次編入生の看護学の修得を目指して自己の限界を自己評価し、自己教育力を身につけていくための授業や演習が用意される必要があると思われる。全国の編入制度を導入している看護系大学に対し、編入生の教育課程の実態と課題について調査し、編入生に対する教育課程の骨子について提言していく研究を重ね、教育プログラムを開発していく予定である。
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