本研究は、多様化した日本の看護職の価値観を明らかにするとともに、日本の看護職の新世代の価値観を反映した看護管理者のリーダーシップ能力開発プログラム等の看護継続教育に貢献することを目的としている。 急速な社会状況の変化により、日本人の価値観の多様性は、ますます広がっている。そのため、多様な年齢、教育背景、経験で構成される病院の看護師を管理する立場にある看護管理者は、次世代を担うスタッフを管理するにあたり、様々な課題に直面している。組織に忠誠心を持ち、高い規範意識を持っている世代と、自己のキャリア形成を中心とした職業意識を持つ世代との間には、大きな価値観の溝があり、それらが原因となって引き起こされる職場での様々な問題は、離職や勤労意欲の低下につながる可能性があることが文献検討で明らかになった。 平成23年度は、平成22年度から平成23年度に繰り越して調査を実施した、多様化した価値観を明らかにするための調査の分析を実施した。 調査は、協力の得られた2か所の地域の離れた特定機能病院で実施した。調査は、基礎情報、看護者に求める価値観にかかわる項目55項目、経験や価値に関する質問44項目からなる調査票を作成し用いた。 合計1397名の看護職員に調査票を配布し、754名(回収率:54%)から回答があり、データー不備があった調査票を除外した668名の回答(有効回答率48%)を分析の対象とした。 「団塊・しらけ世代」「バブル世代」「氷河期世代」「ゆとり世代」の世代間での「幸せ」、「価値観」、「情報媒体」についての相違を検討した。相違があったのは、幸せに関する項目では、「仕事の立場(昇進)」と「レジャー/余暇の時間」であった。これらの結果は、今後、多様化した価値観をもつ看護職員を対象とする継続教育の手段や内容を検討する上で貢献すると考える。
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