研究概要 |
研究目的は、在宅ケアの質保証と人材確保に寄与する、訪問看護の実践環境評価尺度(Nursing Work Index in Home Health Care:NWI-HHC)を開発することである。 まず、尺度を構成する項目群を設定した。働きがいのある職場、働き続けたい職場等について、質の高いケアを提供していると同業者から推薦された訪問看護ステーション(以下ステーション)6か所の看護職14人への半構造化面接、過去に行った全国のステーション300か所への郵送調査の自由記載への記入について、内容の類似性・相違性にもとづいて整理した。更に、訪問看護のエキスパート4人の意見を得て(デルファイ法)、訪問看護師にとって魅力ある職場条件90項目が明らかになった。 次に、尺度を構成する項目を絞り込むため、全国の全ステーションのうち協力意思を示した事業所で働く看護師を対象に、前述の90項目を用いた自記式質問紙調査(郵送法)を行った。一定の回答数を確保するため同じ調査を2回行い、計421事業所の看護職2,926人への調査票の配布により、1,710人より有効回答を得た(有効回収率58.4%)。因子分析により尺度を構成する因子が確認され、各因子を構成する項目群への回答の平均値をサブスケール得点、サブスケール得点の平均値を合成得点とした(最小値:1,0、最大値:4.0)。 最後に、これらの得点が看護職の定着等に関連するかどうかを検討したところ、各得点は、看護職の就業継続意向と有意に関連し、職務満足度と有意な相関があった(P<0.05)。また、各得点と、質に関する変数との関連を検討するため、前述の調査へ回答したステーションのうち協力意思を示した7か所の利用者423人を対象に満足度調査を行った。統計的な検討には、協力事業所数を増すこと、訪問看護の質を適切に反映した指標の必要性等が課題として残された。
|