研究概要 |
平成22年度は、『SPBurden尺度(仮称)』開発の第一段階の調査として、SP活動場面における市民SPのストレッサー(ストレス要因)とストレス反応の特性を検討し、測定項目を収集・作成することを目的に実施した。 概念枠組みは、MOSH職業性ストレスモデルと、Lazarus&Folkmanによるトランスアクショナル・モデルのストレス反応の理論をもとに、前年度、明らかにしたSP Burden尺度の理論的構造化の内容を加味して作成した。『SP Burden尺度(仮称)Ver.1』は、概念枠組みの下位概念が示すと考えられるステートメントを項目として作成した。概要は、(1)属性、計15項目、(2)ストレッサー(ストレス要因)、計88項目、(3)ストレス反応、計35項目、(4)緩衝要因、計5項目、(5)SP活動以外の要因、2項目、(6)自由記載欄、1項目の計146項目であった。 名古屋大学医学部倫理審査会での承認を得た後(承認番号1043)、ホームページ上で確認されたSPグループ52団体のうち、連絡先や責任者名などが明記されている31団体の責任者宛に調査依頼をし、研究協力の承諾が得られた17団体宛に、調査協力予定者数292名分の調査票一式を送付し、242名(回収率82.9%,有効回答240名)から回答があった。質的分析の結果、ステートメントの表現が不適切・理解困難と指摘された項目や、誤回答・無回答が多い項目、SPのストレス要因として現実的でないとの指摘があった項目、さらに自由記述から追加が必要とされた項目など、検討項目が30数項目に及んだ。 平成23年度は、質的分析に量的分析を加えて、連携研究者の助言・指導を得ながら、調査票のステートメントのブラッシュ・アップを行い、項目数を絞った『SP Burden尺度(仮称)Ver.2』を作成する。そして、倫理委員会での承認後、市民SP(500名前後)を対象として2度目の調査を実施し、(1)G-P分析、I-T相関分析による項目の整理、(2)因子分析による因子構造の確認と信頼係数の確認などの統計的分析を実施する。
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