研究課題
本研究は、医療情報電子化がナーシングワークに及ぼす影響と社会情報化がナースのコミュニケーション能力に及ぼす影響を解明する目的である。ナーシングワーク特性に関しては、まず、姿勢・場所・相手・会話コードを検討し、看護業務分類項目(24中項目、391小項目)を設定した。電子カルテ導入前の病棟における看護業務場面を撮影し、30秒スナップリーディングのタイムスタディ法を用いて整理した。その結果、会話・姿勢・場所・相手コードの積算結果では、会話は声かけの場面が多く、相手はやはり患者が最も多かった。姿勢は立位、場所はナーシングステーションと病室が半々であった。看護業務の積算結果では、午前では医療処置が最も多く、次いで報告・連絡・情報収集、身の回りの世話、観察というであった。午後では、書類の記録が最も多く、観察、身の回りの世話という順であった。コミュニケーション能力では、情報社会とコミュニケーションに関する質問紙調査と心理検査(EQS)を、看護師272名を対象に実施した。その結果、携帯電話によるコミュニケーションに関する結果では、携帯電話は99%が所有しており、所有し始めた年齢は平均22.9(10-50)歳であった。携帯電話のメール着信は、平均6件/日であり最大1日の受信件数は40件だった。携帯メールでの絵文字の使用は、8割をこえていた。個人のパソコンを84%が所有しており、仕事以外でのパソコン使用時間は平均1.46時間であった。パソコンでのメール送信は0.2通/日、絵文字は93%が使用していなかった。オンラインサイトの使用状況は、全体の中で1~2割であった。1週間の使用時間は1時間以内がほとんどであったが、数人が10~30時間/週オンラインサイトを使用していた。看護師のEQSの得点は低い傾向を示し、下位項目(自己対応・対人対応・状況対応)は、社会人対象の調査よりも低い傾向が見られた。