研究課題
本研究は、医療情報電子化がナーシングワークに及ぼす影響と社会情報化がナースのコミュニケーション能力に及ぼす影響を解明する目的である。ナーシングワーク特性の変容に関しては、看護業務分類項目を設定し、電子カルテ導入前後の病棟における看護業務内容について、30秒スナップリーディング法のタイムスタディ観察法を用いて測定した。その結果、電子カルテ導入前は、看護記録記入業務は午後に多く行われていたが、電子カルテ導入後には記録時間が一日に分散し、短縮している結果が示され、看護記録に関わる業務時間の変化が明らかになった。電子カルテ導入により看護業務内容が整理され、患者とのコミュニケーション時間が増えていることが推測された。また、ナースのコミュニケーション能力では、質問紙心理検査(EQS)および看護実践能力評価尺度を用いて、看護師272名を対象に質問紙調査を実施した。その結果、看護師のEQS下位項目(自己対応・対人対応・状況対応)は、社会人対象の調査よりも低い傾向が見られた。また、EQSとオンラインサイト利用時間との関係では、負の相関がみられ(r=-.384)オンラインサイトに費やす時間が多いほどEQSが低いことが明らかになり、社会情報化がコミュニケーションに負の影響を及ぼしていることが考えられた。看護実践能力評価尺度とオンラインサイト利用時間との関係においても、負の相関がみられ(r=-.471)、オンラインサイト利用時間が長いほど看護実践能力へ負の影響を及ぼすことが考えられた。(641字)
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応用心理学のクロスロード
巻: 2 ページ: 20-21