研究の目的 静脈注射・採血時、静脈血管を選択する判断、穿刺は実施者個人の経験と技術に多くを頼っている。そこでこの研究では、どの静脈が静脈注射・採血に適しているかを数値的な根拠を明らかにすること、視覚的補助を行うことによって個人による経験・技術の差を小さくすることを目的としている。 研究実施計画 近赤外光と画像処理を用い、静脈血管の『太さ』・『走行(蛇行の程度・傾き)』等をリアルタイムに計測し、静脈注射・採血に適した静脈血管の情報を表示、また判断を補助する方法を開発する。 現在、以下のことまで研究が進んでいる。 (1) 皮下静脈血管中の還元ヘモグロビンによく吸収される約780nmの近赤外線光を皮膚に照射し、反射光を赤外線CCDカメラで撮影。裸眼よりもはっきりとした静脈血管の走行画像を得た。 (2) この静止画像を画像処理し、(1)よりも鮮明な静脈血管の走行画像が得られた。 (3) 9つの測定枠を作成し、取り込んだ画像を2値化。この画像から静脈血管の『太さ』、『位置』、『傾き』を数値化することができた。 (4) MRI検査データと近赤外線照射から得られた画像との静脈血管の『太さ』の検証を行った。 上記の画像処理方法で得られた静脈血管の『太さ』とMRIでの実測値とでは約1.86倍の違いがでた。下記のような項目で、その精度を高める方法・リアルタイム計測について再検討する。 i) 9つの測定枠同時に行っていた2値化をそれぞれ違った2値化方法で動くプログラムの再作成。 ii) 寒天ファントームによる『深さ』を求める基礎的研究。iii)裸眼よりも鮮明な画像が得られることから、アイカメラを使用した静脈特定の検討とリアルタイム計測の連続プログラム作成。 iv) より鮮明な赤外線画像を得るためのライティング方法の再検討。
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