静脈内注射技術の静脈を選択する基準は、『できる限り太く、真っ直ぐで、弾力性のある血管を選択する。蛇行している血管は避ける』等となっている。しかし、『どの部位に』、『どの位の太さ』の静脈血管が『どの位の深さ』を『どのように走行しているか』の判断は、数値的根拠によるものではなく、実施者個人の経験や技術によって行われてきた。 この研究では数値化により穿刺可能な静脈選択の情報を補い、個人の経験や技術の差を最小限にすることを開発の基礎的な目的としている。今年度は静脈を画像で捉える計測枠の改良とモニター方向の検討を行った。 昨年は1つの計測枠から1本の静脈血管しか位置と幅、傾きを計測することができなかった為、18個の枠で複数の静脈血管を捉えようとして来た。しかし、今年度は1つの計測枠から複数の静脈血管の位置と幅、傾き、そして、穿刺する時に最も重要な静脈血管の中央の位置を数値的に捉えることができた。 次に、昨年までは静脈が実際に存在する上腕と、PCモニターの離れた2か所を見る必要があったが、今年度は片眼メガネ型モニターを使用することで、実際の腕を見る方向と、画像処理をした画像が同方向からの確認が可能となった。 静脈位置の特定方法を「通常の方法」、「PCモニターと通常の方法」、「片眼メガネ型モニターを使用した方法」の3通りについて静脈の特定の正確さ、主観的な特定しやすさの比較を被験者3名で行った。今後被験者を増やして検討を行う。
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