研究目的 静脈注射を行う際、静脈血管が『どの部位に』『どのくらいの太さの』静脈血管が『どのくらいの深さを』『どのように走行しているのか』を選択する判断は実施者個人の経験と技術に多くを頼っている。この数値的根拠ではなく個人の経験・技術を基に運択する方法では個人差が大きくなる。末梢循環機能が保てない患者や浮腫、肥満の状態が緊急時に実施者個人差によって静脈血管確保が困難になるような不利益があってはならない。本研究では静脈血管を選択する際の標準採血ガイドラインにある『視診および指で触れて血管を確認する』の中の視診については平成21年に近赤外線を照射、平成22年には近赤外線を照射せず狭い範囲の赤外線領域を取り込むバンドパスフィルターを使用することによって、画像化し上腕皮静脈が『どの部位に(座標)』『どのくらいの太さ(幅)』で『どのように走行しているか(傾き)』を数値化できることを明らかにした。23年度は赤外線画像処理情報を確実にするため、『指で触れて』の触診部分を静脈血管が存在する所と存在しない所とで皮膚の弾力性に差があるのか、それを数値的に表すことを目的とした。 研究実施計画 超音波検査によって肘正中皮静脈を確認後、皮膚上から見て垂直に静脈血管の無い皮膚から存在する皮膚、反対側の静脈血管が存在しない皮膚の硬度を皮膚粘弾性測定器によって測定した。被験者1では硬度差10でその差を測定することができた。被験者2では硬度の差を測定することができなかった。これには2つの理由が考えられた。1つは2人の皮下脂肪の厚さによって皮膚表面からは硬度の差どして出なかったと考えられる。2つ目はこの皮膚粘弾性測定器は、60g皮膚に押しつけることによって測定開始する仕組みとなっており、医療者が行うもっと深い触診とは同等の測定状況にならなかった為と考えちれる。今後は深い触診と同等の測定の方法を新たに開発する必要がある.
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