研究概要 |
医療機関における医療の高度化や高齢患者の増加による日和見感染の増加,施設・在宅領域での伝染力の強い感染症の流行など感染症をめぐる様相は急激に変化している.発熱などの感染症状を有する確定診断前の初診患者は,最初から感染症専門病院を受診するわけではなく,市中医療機関の外来を受診する.本研究は,その医療機関だけでなく地域の医療安全管理体制の整備に向けた取り組みとして,外来機能の強化による医療関連感染が減少する地域全体の連携システムを開発することを日的とする. 名古屋市立大学看護学部研究倫理委員会の承認(平成21年7月),A病院部長会の承認(平成21年9月,を得て研究を開始している. 外来機能の強化として.A病院では,受診時の感染症に関する問診票を導入した(平成21年9月).初診患者を対象に,問診票かち受診時の症状(発熱,下痢,発疹等)を,カルテから確定診断名等を収集,解析中である.初診患者数は.平成21年10月;1.487名,11月;1,431名,12月;1,339名,半成22年1月;1,327名,2月;1,412名であり,データ解析中である.外来職員対象の質問紙調査(感染予防に関する知識,自身の抗体検査受検歴,ワクチン接種歴からの免疫獲得に関する認識)では,パイロット調査を終了した.現在,受付職員,放射線技師,臨床検査技師の質問紙調査結果を解析中である.初診患者に対する外釆職員の感染予防行動調査〔直接観察〕では,パイロット調査を終了し,受付職員の行動を300揚面収集,解析中である.外来職員の麻疹・風疹等の血漿抗体値〔採血〕は,受付職員50名,放射線技師21名,臨床検査技師36名の測定が終了しており,質問紙調査結果と併せて解析中である.以上の調査を継続実施,解析し,外来機能の強化による地域全体の医療関連感染の減少に向けた連携システムを開発する予定である.
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