研究概要 |
能登半島地震で被災を受けたA町の住民を対象として、発災直後、1年後、2年後、3年度の健康状態を調査した。無作為抽出をした1,000人の住民に郵送によりアンケート調査を行い、525名から回答を得た。調査項目が多かったため、有効回答は383件であった。 基本属性では、全回答者の51.9%が60歳以上で約半数を占めていた。性別は男性44.2%、女性55.8%であった。人的被害の無い人が95%で、物的被害は一部損壊を含めて75.5%の人が何らかの物的被害を受けていた。過去の災害経験がある人が14.3%で、多くの人が能登半島地震が初めての災害であった。 健康状態については、自覚症状があると回答した人が発災直後18.3%であったが、1年後には13.7%に、2年後は11.2%に、3年後は11.8%と漸減していた。一方で、治療中の疾患のある人は、発災直後21.7%だったものが、1年後には21.9%に、2年後は22.3%に、3年後は24.6%と漸増していた。さらに、日本語版GHQ28による平均値をみてみると発災直後9.47と一番高く、1年後には7.06、2年後は5.52、3年後は5.25となっており、カットオフポイントの6点以下になるには2年を要していることが明らかになった。ただ、最大値については、発災直後27、1年後27、2年後26、3年後26と高値のままであった。 発災からの時間経過とともに、全体的には健康状態はよくなっている人が多いが、治療中の疾患のある人は多くなり、GHQについても高値を示している人もおり、個別的な関わりが必要であることが判明した。次年度は、健康悪化群、維持群、改善群に分類をしてその要因についての分析をしていく予定である。
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