能登半島地震で被災を受けたA町の住民を対象として、発災直後、1年後、2年後、3年後の健康状態を調査した。平成21年度は、本調査のための事前調査とともに調査項目について精錬をした。それに基づき平成22年度は、住民台帳から無作為抽出をした1000人の住民にGHQとともに基本属性に関する調査用紙を作成し、郵送によるアンケート調査を行った。その結果、525名から回答があり、そのうち有効回答は383名であった。発災から時間経過とともに、健康状態は良くなっている人が多いが、治療中の疾患ある人については悪化している人もおり、災害後の時間経過に沿って個別的なケアが必要であることが明らかに成った。能登半島地震後においては、特に発災~1年間は健康状態の変化が少なくケアが必要であるが、2年目以降については健康状態が改善傾向にあることがわかった。 平成23年度は、上記の回答者から健康維持群、健康改善群、健康悪化群に分類し、健康状態が変化した要因について聞き取り調査により明らかにしていくことを目的とした。分類をしていく中で、アップダウン群の存在も明らかになったため、該当する4つの群の中で無作為抽出により、インタビュー対象者を選択した。実際には、健康改善群3名、健康悪化群1名、健康維持群2名、アップダウン群1名の協力を得ることができた。なお、本研究にあたり、日本赤十字広島看護大学研究倫理委員会の審査を受け、倫理的配慮については特段の注意を払った。健康悪化群については、災害とは関係なく発病した疾患が関係していたが、いずれもこれ以上健康状態が悪くならないように日常生活を送っていた。そのため、本調査では、健康を維持していくための要因として分析をしていき「災害による被害が軽微」「災害発生時に避難行動が取れていること」「家族関係が良いこと」「将来への希望があること」「自分なりの時間の使い方があること」「辛さを客観的に認識し対応できる」等を因子として抽出した。調査協力者が少ないことが本研究の限界であるが、これらの因子を看護専門職として支援していくことが重要であることが判明した。
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