研究概要 |
1. 研究の目的 看護職が実践している感染予防対策のうち,手洗いを中心として,継続的な教育・推進活動への介入の効果を評価するための基礎データを収集する。研修効果の継続期間・間隔に着目し,教育・推進活動の内容をより具体的にするため,スタンダードプレコーションに関する実践内容の実態とその修得に影響する要因を検討する。 2. 研究の具体的内容 (1) 調査対象:感染予防に積極的である医療機関で,調査に協力を得られた医療施設の看護師 (2) 調査方法:ATPふき取り検査(ルミテスターPD20)による手洗いの効果判定・スタンダードプレコーションに関する自記式質問紙の配付・回収(留め置き法) 基準値の設定:食品衛生機関で設定されている値を参考にし,「合格」「要注意」「不合格」を設定 (3) 結果:対象は,116名であり,うち7名は部門内での手洗いに関する研修を受けた直後であったため,分析から除外した。ATPふき取り検査の手洗いの効果判定では,36.7%の者が「合格」,39.5%が「要注意」,23.9%が「不合格」であった。自分が行っているスクラブ法について,自信がある者はほとんどおらず,「まあまあ正しいと思う」者が最も多く,そのうち約40%の者がRLU値「合格」であった。ラビング法についても,スクラブ法と類似の傾向を示した。さらに,ラビング法がスクラブ法よりも効果があると思っている者の約半数は,RLU値が「合格」であった。一方,スクラブ法がラビング法よりも効果があると誤った知識を持っている者は,全体の約57%と最も多くを占め,そのうち,約46%がRLU値「要注意」となった。 3. 本研究の意義 感染予防対策において,看護師が実践している手洗いについて,正しい洗浄方法は自分の自信や認識に関連があり,それらに焦点を当てた定期的な研修を設定することによって,介入の効果が発揮できる可能性が示唆された。
|