研究概要 |
1. 研究の目的 平成21年度の分析の結果,看護師が実践している手洗いについて,正しい洗浄方法は自分の自信や認識に関連があり,それらに焦点を当てた定期的な研修を設定する重要性が示唆された。これをもとに,平成22年度は,手洗いに関する介入前のベースラインとの比較及び介入群と非介入群との比較によって,介入による効果の有無とその内容,効果の継続期間・介入の間隔に着目し,教育・推進活動を試行する。さらに,介入の効果と経時変化を評価し,スタンダードプレコーションに基づく感染予防対策に関する実践内容の修得に影響する要因について検討し,教育・推進活動の標準化を検討することを目的とする。 2. 研究の具体的内容 (1) 調査対象:感染予防に積極的である医療機関で,調査に協力を得られた医療施設の看護師 (2) 調査方法および調査時期:ATPふき取り検査(ルミテスターPD20)による手洗いの効果判定・スタンダードプレコーションに関する自記式質問紙の配付・回収(留め置き法) 基準値の設定:食品衛生機関で設定されている値を参考にし,「合格」「要注意」「不合格」を設定 調査時期:介入前・介入直後・介入3か月後・介入6か月後 (3)結果:対象は,76名であり,調査への連続的な協力が得られた者と間欠的な協力が得られた者を比較した。介入直後は,知識が変容する可能性はあるが,ATP値の変化が見られず,手技の変容が困難であることが示唆された。知識の修得は,教育的介入により効果を期待できるが,手技の修得には時間が必要であり,3~6か月に間にやや改善がみられ,継続できることが示された。 3. 本研究の意義 看護師に対する手指衛生の教育的介入によって,知識は変容するが,手技の修得に至るまでには時間が必要であり,職場における手指衛牛に関する教育を,定期的かつ継続的に実施する必要性もあることが本研究によって示された。
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