安楽ケア実践力を育む看護基礎教育プログラム構築のための第一段階として、看護師の安楽概念獲得プロセス可視化を目的としたデータ収集(半構成的面接法)を行った。対象者は、看護の受け手である患者の視点を含めるため患者経験を有する看護師とした。 患者体験を有する看護師へのインタビューから、次に述べる看護における「安楽」なケアの様相が明らかになった。“看護師である患者の判断力を尊重し鎮痛剤がいつでも飲めるようにベッドサイドにおいてくれた”などの「看護職であることが配慮されたケア」、“手術後1日目朝全身清拭の手早さ、気持ちよさ”という「看護職だから気づく安楽なケアの価値」、“全身清拭という患者に安楽をもたらすはずケアが、看護師の手技が統一されていながゆえに、患者に安楽をもたらしていない”という「安楽であるべきケアの不適合」、“手術後1日目に膀胱留置カテーテルを抜去され、トイレまで歩かざるを得なかったことが手術後の早期離床につながった”という「患者の治療上のゴールをふまえた安楽なケア」などである。また、これらの患者体験時をふまえ、研究対象者は、“教科書に記載されている「こうあるべき」でなく「相手に対応すること」が必要”であること、“患者が苦痛や不快を感じることのない(感じる間もない)ケアであること”、“看護師が効率よくケアすることが患者の負担を軽減し患者の安楽につながり、患者と看護師の信頼関係が構築される”ことであると、安楽概念獲得プロセスについて語っていた。
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