「安楽ケア実践力」を育む教育内容の作成のために、卓越した看護師の「安楽」概念獲得プロセス及び安楽なケア実践発展過程の可視化を目的としたデータ収集を前年度(平成21年度)に引き続き行った。データ収集はインタビュー(半構造的インタビューガイドの使用)によって行い、グラウンデッドセオリーアプローチによる継続的比較分析法を用いた。対象者の条件は、(1)卓越した看護実践を行っていると考えられる臨床経験7年以上、(2)一般成人病棟勤務(集中治療領域、緩和ケア領域を除く)、(3)安楽な看護実践を行っている者、(4)入院歴がある(看護の受け手である患者経験を有する者)、とした((1)~(3)を必要条件とした)。 協力が得られた11名の看護師(臨床経験4~19年、平均11年、入院経験者8名)のインタビュー結果から、「安楽」概念は、実習時の成功体験、未熟な看護技術提供による患者の反応、看護師として経験を積むことによる広い視野の獲得、患者および患者の家族からの肯定的フィードバック、多様な患者への看護提供方法の実践、先輩看護師からの効果的な指導、入院経験中に受けた看護師からの不快な態度、身体的苦痛を除去してくれた看護職の卓越した実践体験、などにより獲得されていることが明らかになった。 「安楽ケア実践力」を育む教育内容作成においては、看護職による「安楽な看護実践の様相」を具体例として明確に提示し、概念獲得プロセスの特性を踏まえた構成とする必要があることが示唆された。
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