研究概要 |
本研究の目的は、カナダの看護研究者であるLaschingerが開発したWork Empowerment Theoryに関して、日本の看護労働環境における検証を図り、さらに米国で開発された看護師長のアクション測定尺度との融合により、日本の急性期病院における看護労働環境のwork empowerment management modelの構築を図ることである。 Laschingerにより開発された構造的エンパワーメント測定尺度の信頼性は、日本の調査対象者においても高く、また心理的エンパワーメント測定尺度も同様の結果を得た。またWork Empowerment Theoryのアウトカム概念は、バーンアウトを採用した。これの結果から、Laschingerが開発したWork Empowerment Theoryは、日本の看護労働環境においても実証された。また、看護師長のアクション測定尺度に関しては質問項目が米国の医療制度のしくみが基盤となっているため、日本の看護師長にあてはめることが困難なものがいくつかあった。 また、看護師長へのインタビューから部下に対する想い入れがあることがよくわかったが、部署のみならず、変革期における管理者としてシステム思考、つまり病院全体や看護に影響する政策や外部環境に関するアセスメントや戦略的なアクションプランの策定に関する能力開発が必要であることが判明した。 管理職として,医療サービス全体を俯瞰し、ビジョンをたて戦略的にどのような行動をとるかについての、管理者教育の強化が求められる。
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