研究の目的 本研究では、医療安全の向上を目指して、医療者(特に看護師と医師)の能力を最大限に発揮させるチームワークづくりの基盤を整備する。具体的にはチームワークづくりに必要なトレーニングプログラムを精選し、その効果を実証して、日本におけるチームワークトレーニングを構築することを目的としている。 平成21年度の目標と成果 (1)医療安全を向上させる日本版MTTの内容を検討する チームワークの重要な要素は、「チーム構成(ビルディング)」・「リーダーシップ」・「状況モニタリング」・「相互支援」・「コミュニケーション」である。また、日本におけるMTTを開発するには、既存のチームワークトレーニングを日本の医療安全管理者に広く紹介し、意見交換を図ることも重要である。本研究では2009年11月米国ミネソタ大学キャリンベウム先生を招聘して、米国TeamSTEPP(チームワークトレーニングプログラム)の実際について、医療の質・安全学会において、国内の医療安全管理者と意見交換を実施したり、セミナーを開催して学習の機会を増やした。また、独自に勉強会を開催し、MTT(Medical Teamwork Training : MTT)プログラムの内容を検討した。一連の過程は雑誌に掲載した。 (2)MTTの効果測定尺度を開発する MTTの効果を厳密に測定するためには、精度の高い評価指標が必要である。そこで2009年10月にこれまで開発された組織文化の測定尺度をレビューし、日本で利用可能な尺度を精選した。 (3)MTTの指導者の育成を目指して、研究協力が得られた病院の医療者にMTTの研修を実施する MTTの開発とシステムの構築のためには、指導者の育成と質の高い教材が不可欠である。本研究では、東邦大学医療センターの職員とNTT東日本病院など延べ60名の医療者に研修を実施した。
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