1. 研究目的 研究目的は、注射実施過程における看護師の確認行為に焦点を当て、注視行動を分析してエラーが起きにくい新システムを開発し、その実用性を評価することである。平成22年度は、「目標1.看護師の注射実施過程において、確認行為の際に、看護師が何処を、どの程度の時間、どのような順路で見ているかを、注視点追跡システムにより計測する」に取り組んだ。 2. 研究成果 平成22年度は、注視点計測のプレテストと分析を次のとおり行った。 (1) 計測期間:平成22年10月(2)計測場所:日本赤十字広島看護大学看護実習室(3)対象者:高校生18名(4)計測方法:被験者に注視点追跡システムEMR-8(ナックイメージテクノロジー社)を着用して貰い、スクリーンに看護師の注射実施場面の動画「指差し呼称確認あり/なし」を投影して注視して貰い、2パターンにおける視線の動きを計測した。(5)分析:「指差し呼称確認あり/なし」における視線の凝集性を比較し、指差し呼称確認の有効性を確認した。また、プレテストの結果から、計測方法と分析方法の課題を明らかにし、平成23年度の本調査の準備を行った。さらに、病院での視線計測の準備として、平成22年8月と平成23年4月に、病棟での注射場面を参加観察し、安全でリアリティのある視線計測方法の準備を行った。なお、より現実に近い視線計測ができる装着式視線計測システムが開発されたので、機種を変更して研究を行った。併せて、本研究成果の社会還元・普及として、平成22年度ひらめき☆ときめきサイエンス「視線計測で防ごう!ナースの注射事故」を開催した。
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