在宅療養中で活動制限のある患者(ALS6名、背損2名、筋ジス1名、脳性麻痺1名)10名を対象に、片側の手は手浴、もう一方の手はウェットティッシュで、2つの手指衛生を実施し汚染除去効果を評価した。また、手指衛生の方法について心地よさを5段階(0~4)で主観的評価をしてもらった。 データ収集はそれぞれの手指衛生の前後に実施し、細菌採取は手型寒天培地に手掌を接種してもらい、細菌数と菌種同定を行った。菌種はほとんどが表皮ブドウ球菌で、手浴前後の細菌コロニ数は288個から214個、ウェットティシュは403個から222個と減少したが有意差はなかった。しかし、いずれの手指衛生でも実施前に付着していた真菌、G.Bacillus、黄色ブドウ球菌は半数の患者が完全に除去(ゼロ)された。また、1~3名の患者に付着していた緑膿菌、アシネトバクター、セラチアはいずれの手指衛生でも除去(ゼロ)された。 2つの手指衛生で、手浴は気持ちよさ3.8、清潔感3.9、洗い残し0.1に対して、ウェットティッシュは2.5、2.7、0.9と明らかに低得点であったことが確認された。 以上のことから、2つの手指衛生の方法は通過菌を低減することが可能であるが、患者の心地よさを得るためには手浴が望ましいことが明らかになった。
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