研究概要 |
研究最終年度は,これまでの研究成果を確認し,考察を深め学会や論文で発表できるようまとめていくことを目標に研究を進めてきた。本研究の目的は、1点目として日本における法看護学導入の可能性(アメリカモデルの分析検討)、2点目として法看護学導入の必要性を明らかにすることである。そこでまず、法看護学について、文献検索テータベースを活用しながら関連の書籍、論文を、またインターネットを活用しキーワードを用いて文献収集しレビューを行った。法看護学は扱う範囲が広範囲であるため、総論的なものと法看護師の実践活動に関するものに分け、法看護師の実践活動の整理にあたっては、国際法看護師協会(IAFN)による8つの役割区分を基に、法看護学の発展および各々の活動の場や資格・権限等についても分析した。現在、多岐にわたる法看護師の役割はより専門的・主体的になっており、法看護学もその対象を限定されるようになり、個々の法看護師の役割を区分しながら検討しなければならない。また法看護師の資格や権限において、法看護学の発見・発展したバージニア州の看護業務法や性犯罪防止法等を基に法看護師の法的に許容される業務と責任範囲について裁判例を検討しながら考察した。これらより日本において法看護学導入は可能であり、司法精神看護に加え被害者ケアに関する看護の役割を明確にした法看護学導入を検討すべきであるという結論に達した。その上で2点目では、臨床看護師を対象に質問紙調査を実施し、その結果、法看護学導入を臨床看護師も望んでいるが、実践における不安を取り除くため、看護師の役割の明確化、必要な教育、活動を支援する法制度の整備が必要であることが明らかになった。以上より、日本においても法看護学を看護教育の中で導入し臨床の場で看護師が法看護学実践活動できる制度のあり方を検討しなければならないという結論に達した。
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