研究概要 |
本調査の大きな特徴は,患者の選好を分析するためにコンジョイント分析を用いる点である.2011年は,2010年までに行った医師を対象としたコンジョイント調査の結果を用いて,スコアを作成し患者の予後評価に応用できることを確認した.具体的には,医師のイメージをコンジョイント分析によって明らかにし,その係数を重みとして用いることによって透析導入時の情報をスコア化した.高得点群と低得点群でカプランマイヤー曲線を描き,透析継続率に差がないこと(ログランク検定p=0.44)が明らかになった.また,腹膜炎発症についてはCox比例ハザードモデルにより,男性で3.4倍(p=0.027),また低適性群で高適性群の3.5倍(p=0.008)であることが示されるなど,コンジョイント分析を用いた結果がさらにその後の予後予測にも応用できることが明らかになった.結果は,2011年9月の第17回日本腹膜透析医学会において発表した.しかし,2009年から継続して行ってきた調査により,本来の目的であった患者を対象とする腎代替療法についてコンジョイント分析を用いるには,いくつかの問題点があることが明らかになった.問題点の一つに腎代替療法の設定に限界があることが挙げられる.組合せによって,実際にはあり得ない仮想治療法が作成されてしまうこと,また対象が実際に腎代替療法についてある程度の知識を持っている場合には,その情報に強く影響を受けることが予想されること,説明が必要となるような設問やイメージしにくい項目が含まれると選択時には除外されてしまい,正確な選考構造が把握しにくくなることなどが理由として考えられた.
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