【目的】今年度は、前年度に引き続き2型糖尿病患者において、計算ストレス負荷前後のストレス関連ホルモン濃度を測定するとともに、ストレスマネジメントを含むセルフマネジメントプログラムの介入を行うことによリストレス対処系(HPA-axis)の機能や血糖コントロール、ストレス対処関連能力の改善がみられるかの点を明らかにすることを目的とした。 【方法】2型糖尿病患者43名(前年度より対象者を増やしたができるだけ薬剤治療の影響のない患者に分析を絞ったために対象数減となった)および性・年齢をマッチさせた健常人31名において、自覚ストレス度、ストレス対処関連能力(コヒアレンス感、セルフエフィカシー)を質問紙調査により、また計算ストレス負荷前後のストレス関連ホルモン血中濃度(ACTH・コルチゾール・アドレナリン・ノルアドレナリン)、HbAlc値を調べた。さらに、同意が得られた患者(結局参加は4名)に対してセルフマネジメントプログラム(週1回2時間を6週間)を施行し、介入前後に同様の調査を行うことにより介入効果を検討した。 【結果】患者群は健常群より自覚ストレス度が有意に高く、コヒアレンス感が低かったが、これらのスコアとHbAlc値との関連性はなかった。患者群において、自覚ストレス度とコヒアレンス感およびセルフエフィカシーの間には有意な負の相関(r=-0.641、r=-0.542)が認められた。患者群では計算ストレス負荷後のHPA-axisの反応性がやや低い傾向はみられたが、統計学的には対象群との問に有意な差を認めることはできなかった。セルフマネジメントプログラム介入効果については、参加者が少なく十分な検討ができなかったが、介入後にHbAlc値、自覚ストレスの程度およびコヒアレンス感の改善傾向がみられた。今後介入例数を増やして効果を検証していく必要があると思われた。
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