研究概要 |
1,研究活動環境の調整 研究協力施設における研究協力者の数を増やす必要があり、臨床医を通して患者・家族に研究協力を打診したが、協力者の数は増えなかった。ある程度罹患年数を経過している方が対象者であるため、患者と家族双方がインタビューで語りが可能な身体状況である条件では、対象者が非常に少なくなった。また研究の内容を理解し協力していただくには、心理的にも安定し、安心して面接していただける必要があるが、最初の面接すら叶わなかった。協力いただけた対象者の方との面接に関しては、病院の面談室や空き病室をお借りし、インタビューに問題のない環境を確保できた。 2.データ収集 患者本人と家族へのインタビューは1例で、昨年度に引き続き縦断的に行った。途中、整形外科への入院も含め、3回ほど入院され、その度に病状が安定するのを待って面接を行った。患者本人からは多様な語りが得られたが、主たる介護者が夫で多弁ではないため家族からの語りは患者本人と比較すると不足気味であった。 3.データ分析 研究の目的1)については、病状に伴う病気の仕事は患者本人と家族各々にあること、病いに対応しながらも自分の大切にしている活動を患者・家族が各々でなんとか維持し、お互いそのことを尊重し多少の我慢をしながら生活していることがわかった。症状への対処の仕方についての考えが患者・家族で異なっていたが、相互理解のなさにより心理的ストレスを互いが抱え、その相互理解のなさは本人たちにも認識されていなかった。研究の目的2)にあげた軌跡の局面をどのように認識しその後の予想につなげていたかは、患者・家族で異なるようではあるがまだ分析できていない。
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