本研究の目的は、慢性呼吸不全患者の急性悪化をきたす誘因となる療養行動を明らかにすることである。 分析方法として用いる関連性評定分析は、開発されて新しく、解析方法については開発者からの指導と訓練を要するため、本年度はこの分析方法の習得を目的に研究をすすめた。パイロット研究として、慢性閉塞性肺疾患(COPD)を有する慢性呼吸不全患者3名の協力を得て面接調査を実施した。その結果、急性悪化に先行する通常とは異なると感じた身体状態、症状や生活動作の変化、急性悪化を来たした原因、急性悪化の予防のための自己の努力について語られることは多かったが、過去の急性悪化を引き起こした詳細な経緯については十分なデータを得ることができず、インタビュー方法の検討が必要であることがわかった。また、研究代表者は、本年度、所属機関の異動に伴い、新たな研究協力機関の開拓を余儀なくされた。 そのため、研究協力機関や研究対象者に研究目的や方法について理解をしてもらう活動にかなりの時間を要することとなった。関連性評定分析は、質的データを数量化III類と形式概念解析で数量的に分析するため、今年度はサンプル数が少なく分析に至ることができなかった。次年度は、新たな研究フィールドにおいて、インタビュー方法を改善した上で、質的データを収集し、数量的分析をすすめていく予定である。
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