本研究の目的は、慢性呼吸不全患者の急性悪化をきたす誘因となる療養行動を明らかにすることである。慢性閉塞性肺疾患(COPD)を有する慢性呼吸不全患者を対象に半構成的面接法によるインタビューを行った。対象者は男性9名で、年齢は70歳代4名、60歳代4名、50歳代1名であった。インタビューを逐語録にしたものから、「急性悪化の体験」について語られたものを抽出し、KJ法的なカードのグループ構成をした後、数量化理論IR類を用いて分析した。その結果、重症な急性悪化をきたした経験のある患者は、急性悪化に先行する通常とは異なると感じる身体状態や、急性悪化に先行して起きる環境上の変化を、多様にとらえることができていることが示唆された。しかし、急性悪化の体験と病院受診の判断の遅れとの関係性については、サンプル数が少なく十分な分析をすることができなかった。さらに、急性悪化を起こさないための指導として、定期受診時の医師からの指導、理学療法士による呼吸リハビリテーションの指導を受けていたが、看護師からの教育を受けたことの認識がある患者は少なかった。受診判断の遅れは急性悪化をきたす重要な誘因であると思われるため、今後さらに、より具体的な質的データを多く収集し分析を行い、看護師による効果的な教育方法につなげていきたいと考える。
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