本年度は研究実施計画にもとづき、文献検討および9名の研究参加者に対するICUでの人工呼吸器からの離脱場面の参加観察、および病棟帰室後の面接調査を実施し、comfortをもたらす要因についての一部を明らかにした。 その結果、文献検討からは【苦痛を読み取る】【苦痛の原因に働きかける】【内的な力を高める】【侵襲から患者を護る】【関係性を維持する】の5つのカテゴリーが抽出された。【苦痛を読み取る】は、患者の表情や動作などの反応、およびバイタルサインから苦痛を感じ取ることを意味する。【苦痛の原因に働きかける】は、疼痛管理や呼吸しやすい体位や患者に呼吸に合わせた人工呼吸器の設定などを意味する。【内的な力を高める】は気分転換や、状況理解の促進、安心感や安全感を与える、励ます、患者の頑張りを認める、日常生活援助、コントロール感を高める、添うなどにより、患者の自我機能を強化し、知覚の低下や認知のゆがみを補い安心感につながることを意味する。【侵襲から患者を護る】はICUという非日常的な環境を和らげることを意味する。【関係性を維持する】は家族とのつながりや、看護師との人間的な関係性を保つことで、苦痛に耐える力(超越)を高めることを意味する。 また参加観察と面接調査によって、家族の面会により安心感が得られること、患者個々の苦痛(姿勢、のどの痛み、口渇など)に対応すること、環境音に配慮すること、回復をともに喜ぶこと、手術が無事に終わったことを知ること、患者に言われなくても察してケアをすること、明るい表情での言葉かけや挨拶などが患者のcomfortに影響することなどが明らかとなった。残り10名程度の参加観察と面接調査を予定しているため、分析はまだ途中段階であるが、文献検討と質的調査結果より、ICUで人工呼吸器から離脱する患者のcomfortを促進するための介入モデルを検討するための示唆が得られた。
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