本年度は人工呼吸器からの離脱患者におけるComfortを促進する看護介入プログラムを、看護師の協力を得て、研究への参加同意を得た食道がん術後患者に実施し、その効果を検証した。 対象者は介入プログラムを実施した介入群10名と、従来どおりのケアを実施した対照群9名であり、両群間の属性に有意差はなかった。評価指標は3種類のComfortの程度を測定するVAS、皮膚電位反応、および患者のComfortの認識とした。 VAS値はReliefにおいて対照群5.58(±3.75)、介入群6.29(±3.49)、Easeにおいて対照群6.38(±3.27)、介入群7.77(±2.90)、Transcendenceにおいて対照群7.73(±3.25)、介入群9.90(±1.09)であった。いずれも介入群の方が高値で標準偏差も小さいが、特にその中でも介入群のTranscendenceの値が他よりも高く標準偏差も小さいことから、本プログラムはTranscendenceに対しての効果があることが示唆された。しかし統計的有意差は認められなかった。 皮膚電位反応では、暑さ・寒さに対するReliefケアにより交感神経が鎮静化するが、EaseやTranscendenceのために患者に話しかける行為は、生理的には交感神経の鎮静化に結びつかないことが明らかとなった。 また抜管後の患者の語りからは、看護師の説明や言葉により安心や、頑張ろうと思えたという発言が聞かれた。さらに面接調査で介入群のみに特異的にみられた反応として、「前向きに考えられるようにしてくれた」や「ほめてくれたのでこれでいいと思えた」など、看護師の言葉によって前向きな気持ちになれたことが明らかとなった。この結果は介入群のTranscendenceのVAS値が特に高かったことと一致しており、本介入のTranscendenceへの効果を裏づけている。
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