<調査I> 目的・方法:がんセンター、がん拠点病院、一般病院、緩和ケア施設においてがん患者のケアに携わる看護師に、補完代替療法(以下CAM)の認識と利用の実態に関するアンケート調査を行った。 結果:計13施設の看護師801名から回答を得た(平均年齢36.03±9.78歳)。CAMを知っている者は全体で42%、そのうち緩和ケア施設が最も多く69.2%、一般病院が36.2%と最も低かった。CAMを利用したことのある者は29.5%でマッサージが最も多かった(77.9%)。CAMを利用することでの困難感があると回答した者は72.8%であり、その主な理由は、「技術が未熟」73.4%「実施する時間がない」70.4%であった。利用したいCAMがあると回答したものは80.2%であるが、そのうち一般病院は38.9%と低かった。アロママッサージや音楽療法を行った経験は全体で10%程度であるが、緩和ケア施設は他施設より多かった。患者から健康食品やサプリメントの相談を受けたことのある者は全体で56.2%であり、そのうち緩和ケア施設が73.7%と最も多く、一般病院が49.5%と最も低かった。がん補完代替療法ガイドラインを知っている者は8.7%であり、うち緩和ケア施設が26.3%と最も多かった。 結論:全体的に、CAMに関する看護師の知識は低く、利用している者も少なかった。施設別では、緩和ケア施設は他の施設よりCAMを知り患者に利用している割合が高く、一般病院は低かった。結果として、看護師のCAMに対するニードは高いものの「技術の未熟」などが障害となっていることから、CAMについての教育の必要性が示唆された。 <調査II> 国内外のCAMに関するがん看護援助や看護教育プログラムの文献検討やCAMを実践している医療機関を視察し、簡便で有効なCAMの抽出を行った。その結果、アロママッサージおよびマッサージ、音楽、アートセラピー、呼吸法、タッピングタッチの5つが候補として挙げられた。これらのCAMのエビデンスは十分検討されていないので、禁忌・注意事項を考慮しながら教育プログラムに取り入れていくようにする。
|