目的:がん看護に携わる看護職を対象に、実践で簡便に活用できる補完代替療法(以下、CAM)の教育プログラムの開発を行い、そのプログラムの実施・評価を通して、臨床現場におけるCAMの普及をめざす。 方法:(1)沖縄県内のがん拠点病院や緩粕ケア病棟のがん看護に携わる看護師を対象にCAMセミナーやヒーリングタッチ・タッピングタッチの研修を実施し、教育プログラムの評価を行う。評価方法は研修終了後に無記名のアンケート調査(実践可能性など)を行う。CAMセミナーの内容は主に5種類(サプリメントのエビデンス、アロマセラピー、マッサージ、音楽療法、カラーセラピー)で、実技をメインにした小グループ形式の演習を実施する。セミナー参加後は、各施設にすでに設置済みのヒーリングワゴン(CAMのグッズが入っている、以下ワゴン)を活用して患者・家族に実践する。その実践状況の把握とフォローアップを毎月行い、実施担当責任看護師から聞き取り調査を行う。(2)昨年度開催したゼミナー参加者に対する実践報告会の開催とワゴン使用の状況とCAMの効果と安全性に関する無記名のアンケート調査を行う。 結果:セミナー実施後の調査(26名)で実践可能性の高いCAMはアロママッサージ・カラーセラピー(100%)、音楽療法(96.2%)であった。ヒーリングタッチ(53名)やタッピングタッチ(96名)の研修参加後の調査では98%と84%の高い割合で実践可能性が高いという評価であった。昨年度参加した看護師の実践報告会では「各施設のCAM実践の情報共有ができてよかった」.や「急性期病棟でのCAM活用に感動した」「ワゴン活用で患者とのコミュニケーションやケアが増えた」など肯定的な意見が多く見られた。7施設の看護師のCAM実践の現状はアロママッサージや音楽療法の活用頻度が最も高かった(約50-80%)。CAMの効果は看護師と患者・家族のリラクセーション効果、気分転換、コミュニケーションの促進などであった。 結論:CAMの教育プログラムの内容は実践で簡便に活用可能であり患者・家族に対する実施と効果がみられた。しかし、各施設での使用状況の相違もあり各施設の現状にあったCAM活用の工夫が課題である。
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