今年度は主に、データベース作成のための情報収集および、調査フィールドの調整に当てた。1.インターネットを使った科学情報の発信の概要や現状、医療家専門集団の指導下でメディアを通じ一般生活者に向けた正しい医療情報発信する活動(JPOP-VOICE)の立ち上げから、インターネット上への情報開示に至るまでの計画・製作(データの妥当性・倫理性などの検討過程)・公開プロセスの実際について武原らより有用な情報が入手できた。2.「慢性疼痛・非薬理学的緩和方法」に関して、インターネットサイトGoogleを用いて情報の信頼性確保の視点で現状を把握するために検索を試みた。信頼性が確保されていると考えられるサイトは、11件、うち2件は公的機関の病院などであり、そのほかは医師や看護師およびパラメディカルが会員となって立ち上げている学会であった。7件は、健康食品などの営利目的のサイト、ブログ、ソーシャルスキルネットワークなどから、民間療法などエビデンスが確立されていないうわさレベルの情報がやり取りされていた。2件は、同じ患者同士を結びつけるサイトで、一部セルフヘルプの機能を果たすことが伺え、認知的側面を修正することや、行動変容につながることが期待できた。しかし、インターネット上における医療・保健・福祉情報における、監視、注意喚起できるシステムが機能しないことは誤情報の原因として浮き彫りにされた。慢性疼痛患者の体験をインターネット上に発信していく際に、情報の質を保証していることをどのように提示するか、また、疼痛緩和関連における情報配信における信頼性確保のための規制・承認・開発が広く関連して課題となることが考えられた。3.北海道・関西2施設の大学病院およびペインセンターにおいて、慢性疼痛患者の治療見学および、次年度のデータ収集につなげたるための調査協力の調整を行った。4.複合性局所疼痛症候群(Complex regional pain syndrome)の治療や看護を中心に国内外の文献検討を行いリストを作成した。
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