研究課題
本研究は何らかの原因によって生じた6ヶ月以上続く慢性疼痛患者とその家族の「体験」の語りをデータベース化する。さらに、データベースをインターネット上で情報提供し広く情報活用がなされるための課題を明らかにすることを目的とした。1.最終年度まで、データベース作成には至らなかった。しかし、国内において情報の信頼性が確保されている健康や病に関する患者および家族の語りをインターネット上で公開している、NPO「健康と病いの語りディペックス・ジャパン」運営者らの情報提供や、一部運営に参加し、データベース作成における課題を検討した。まず、慢性疼痛患者の語りデータベース作成のための調査マニュアルを吟味する必要があった。映像や音声を取り扱うため倫理的配慮(個人情報保護、著作権、データ公開後の取りやめほか)について、さらに詳細な対応を検討する必要がある。また、対象者の地域(医療アクセス)疾患(診断が確定していない慢性疼痛事例)、治療などの多様性をどこまで考慮するのか明確にし、日本独自のデータ収集をすすめる必要がある。これを検討するにあたり、すでにイギリス、ドイツで作成されたデータベースを参考にして、主な語りとなる項目について予備的調査が活用可能であり継続する。2.1997年~2008年、札幌医科大学麻酔科・リハビリテーション科主導の森田療法的アプローチによる集団療法に参加した慢性疼痛患者157名を対象に、慢性疼痛のタイプ別に効果を検討した。神経障害性疼痛は長期参加者が多くコミュニケーションや情報交換の比重が大きく、中枢性疼痛はドロップアウトと長期参加が多く、会話内容よりも語る「場」の存在が有効であることが示唆され、対象者選定の資料を得た。今後、信頼性が確保された慢性疼痛患者の「語り」の情報を一般社会に広く提供するデータベースを作成するには、人的・資金的課題もあり研究規模を拡大し推進する必要がある。
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東海大学健康科学部紀要
巻: 17巻 ページ: 15-23
第41回日本慢性疼痛学会抄録集
巻: 41巻 ページ: 70
Practice of Pain Management
巻: Vol.2,No.4 ページ: 16-19
集団精神療法
巻: Vol.27,No.1 ページ: 29-35