昨年度は、モニタリング機能の具体理論を抽出するために、WalkerとAvantが提唱した理論構築の方法を用いることの有用性を検討した上で、その理論構築の第一段階である概念分析をおこなった。この概念分析により、理論を構成する「モニタリング機能」という概念特性が明らかにした。結果として、「モニタリング機能」に含まれる要素として、クリティカルケア看護師の臨床状況を把握する視点に、他の臨床状況とは異なる側面が抽出された。それは、クリティカルケア看護師が常に臨床状況を見る視点には、(1)患者の状態の変化と成り行きが臨床判断根拠となり、モニタリングする項目を決定していること、(2)モニタリングしていることで「気がかり」なことが生じた場合には、その原因探索をする行為と判断に向かうこと、の2点が常に行われていることがわかった。さらに、この二つが相互に関連しあいながら、その場にあった看護介入方法を決定していることが推測された。また、モニタリング機能は、患者の状態が維持・回復していく方向にあるときは、それが助長するよう看護介入がなされるが、異常につながる方向にあるときは医師への報告と速やかな医療行為による対応の必要性を模索することが推測された。 以上の結果から、今後、医行為に対する裁量権の課題からみたモニタリング機能の特性を加味したモデル構築の必要性が見出され、このことも含めたモデル構築を目指していく。
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