本研究は、いわゆる難治性のがんと診断され、治癒を目的とした治療を望むことの難しいがん患者とその家族が、主体的に治療の選択を行い、生きることができるような全人的なケアを行うための実践的な看護モデルを開発することを目的とする。具体的には、1)患者・家族の体験、ニーズの明確化、2)専門職者の経験事例や困難事例に関する分析結果をもとに、難治性がんの患者・家族の体験と求められる看護を構造化、疾患の経過に伴う患者・家族の体験に沿った求められる支援内容や支援目標、具体的な患者・家族の体験事例、専門職者の支援体験事例を加えた看護モデルを作成することである。平成21年度は、上記のうち 1)患者7名(延べ)(膵臓がん3名、原発性肝臓がん2名、口腔がん2名)に対し面接調査を行った。また患者支援センター、緩和ケアチーム等に所属する専門看護師にインタビューガイド洗練のためのヒアリングを実施した。患者に対する面接調査データは、分析を継続的に実施している。これまでのところ、診断から治療の決定、療養生活における情報探索の特徴として、「前例が少ないこと」「経過観察のもつ重さ」「自ら動かなければ得るものも得られない」等のいくつかの傾向が明確化した。
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