平成21年度の研究目的は、外回り看護師の患者の手術侵襲が最小限になるための先見性に基づいた行動モデルの開発に向けて、まず外回り看護師が患者の手術侵襲が最小限になるための先見性に基づいた行動とは何かを明らかにし、質問紙作成にむけた要因の検討を行うことである。これに対して、平成21年度計画は、先見性に基づいた行動についての質問紙の作成にむけた質問項目の内容妥当性の検討を行う予定で進めていた。しかし、主要な項目として(1)患者の情報の捉えかた(手術内容、術前データ、手術リスク)、(2)手術侵襲の捉え方(手術の進行度、患者の状態の変化、患者の状態の変動の幅の捉え方、患者の変化が起こり始めた時期、それら問題に対する対応のタイミング)、(3)先見性に基づいた看護師の行動、これらそれぞれの構成要因、項目を精錬する過程において、看護師の先見性に基づいた行動には、さらに(4)看護師の姿勢、態度も大きく影響しているのではないかという疑問が明らかとなった。これについてエキスパートナースからもアドバイスを得ることができた。看護師の手術にむかう姿勢や態度についてはまだ明確になっていないことが判明した。本研究の独創的な点は、これまであまり明確にされていなかった手術室看護師の実践知を解明し、看護師のなかに埋もれていた暗黙知を実践知に変換することである。看護師の手術にむかう姿勢や態度についても質的なアプローチによるデータ収集が必要であることを検討した。その結果、申請の計画を見直し、再調査の計画、調査を行う施設への調整(倫理委員会への申請)を行い、3月末には調査開始ができる体制がやっと整った段階である。
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