研究概要 |
本研究は、胃切除術後患者の体重増加の変遷の実態を明らかにし、臨床の栄養指導の検討と実践に活かしていくことを目的としている。胃切除術後患者の栄養指導データベースには、入院時、退院時、術後1ヶ月、術後3ヶ月、術後6ヶ月、術後12ヶ月と継時的に、体重、AC(上腕囲)、TSF(上腕三頭筋部皮下脂肪厚)、食事摂取割合等のデータを集積中である。 データベースから2008年9月までの1,544名を抽出したところ、術後12ヶ月後データのある患者は213名であり、6時点(入院時、退院時、術後1ヶ月、術後3ヶ月、術後6ヶ月、術後12ヶ月)全て揃っているのは53名であった。そこで入院時、術後6ヶ月、術後12ヶ月の3時点の体重データが揃っている140名について分析を行った。 対象の性別は、男性98名、女性41名、不明1名、年齢は63.5±11.2歳である。入院時IBW (Ideal Body weight;理想体重比)90%以上は115名、術後6ヶ月時点は73名であった。IBW90%以上と未満に分けて経過をみると、全体的に、術後半年まで体重減少がみられ、1年後は横ばいの傾向にあった。 ただし、このデータベースは、退院以降において体重が増えずに栄養相談を受けた患者のデータであり、偏りが生じていると考えられる。胃切除術後患者の一般的な体重増加の実態を明らかにするためには、胃がん患者全数の体重等の変化を把握し分析を行う必要がある。同時にデータベース項目の見直し、欠損データを削減する方法の検討を行い、引き続きデータを収集していく。
|