研究概要 |
【目的】A県内の特別支援学校に通学している障害児の歯科受診の実態を明らかにし、就学児童の歯科保健に対する支援のあり方を検討することを目的とした。【方法】1.対象:A県内の盲・聾学校を除く特別支援学校11校および2分校に通学している障害児の保護者1,094名中829名(回答率75.9%、有効回答率99.9%)。小学部234名、中学部232名、高等部363名。2,方法:郵送法による質問紙調査:歯科検診、歯科治療について、多肢選択の回答方法で行った。3,分析方法:単純集計および学部別(小学部と中学高等部)に比較した。【結果】1.「口の中を気をつけてみている」の回答があった729名のうち、「いつも・時々見ている」のは小学部190名(82.6%)、中学高等部323名(56.9%)で、小学部の割合が高かった(p<0.001)。2.定期検診:受診について「半年~1年に1回」は496名(59,8%)、「受けない・あまり受けない」は275名(33.2%)であった。「検診を受けるのは大変」は294名(35.5%)であった。3.歯科治療:「歯科に行くことを嫌がる」は281名(33.9%)、「麻酔をいつもする・時々する」は231名(27.9%)、「歯科治療は大変」は402名(48.5%)であった。「虫歯の治療まで気が回らない」では「そう思わない」が594名(71.7%)、「こわがらないように治療してほしい」が643名(77.6%)、「歯科診療を断られたことがある」は110名(13.3%)、「かかりつけのクリニックがある」は618名(74.5%)であった。「歯科受診で困つていること」5項目に回答したのは404名(48.7%)で、「仕事を休めない」105名(26%)、「どこに受診したらよいかわからない」90名(19.9%)、「付き添いの都合がっかない」88名(19.4%)の順であった(複数回答)。【考察】学校での歯科検診で歯科治療が必要とされても受診が困難な状況にある。歯科治療に対するニードは高いが、約半数が治療が大変と感じており、障害児歯科に対する支援が必要と考えられる。
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