研究概要 |
生後4ヵ月までの乳児における睡眠覚醒リズムの発達とメラトニンの概日リズムの発達との関係、授乳や育児環境が及ぼす乳児の睡眠覚醒リズムの発達との関係を明らかにすることを目的に、生後1ヵ月、生後2ヵ月、生後3ヵ月の時点でアクティグラフによる睡眠覚醒リズムの観察、育児環境の調査、そして生後3ヵ.月時の日中の唾液中メラトニン値を測定する方法を計画した。研究開始前に医学部倫理審査委員会の許可を得たのち、29名の乳児の縦断的データ収集を行った。そして、アクティグラフの分析では、以下のような結果が認められた。 (1)在胎週数(出生時の週数+出生後の週数)が増加しても1日のうちで占める睡眠時間の割合は変化しない(r=-0.010,p=0.933)。(2)在胎週数が増加するにつれて睡眠時間の中で占める浅睡眠時間の割合が減少する(r=-0.624,p<0.001)。(3)在胎週数が増加するにつれて睡眠回数は減少する(r=-0.497,p<0.001)。(4)在胎週と最長睡眠時間は関連がない(r=0203,p<0.075)。(5)在胎週数が増加するにつれて、活動の平均値は増加する(r=0.342,p<0.002)。(6)在胎週数が増加するにつれて、活動指数(身体活動数/測定時間)は減少する(r=-520,p<0.001)。(7)在胎週数が増加するにつれて、活動の平均値は増加する(r=0.342,p<0.002)。(8)1日の泣きの回数と1日のうちで占める睡眠時間の割合は関連がない。(9)泣きの回数と睡眠中に占める浅睡眠の割合は相関し、泣き回数が多いほど浅睡眠の割合が高い(r=-0.393,p<0.001)。(10)夜間(20時~8時)の泣き回数が多いほど浅睡眠の割合が高い(r=-0.373,p<0.001)。今後は唾液中メラトニン濃度の測定、睡眠覚醒リズムの発達とメラトニン濃度との関連、睡眠覚醒リズムの発達と保育環境との関連について分析する予定である。
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