医療的ケアを必要とする小児の親が在宅療養を選択し意思決定する過程、および意思決定過程に影響を及ぼす要因を明らかにすることを目的とし、2009年4月~2010年1月の期間には、退院時年齢0歳3か月~4歳8カ月の医療的ケアを要する小児4名の親(母親4名、父親3名)を対象に、面接ガイドを用いた半構成面接調査を実施した。面接内容は録音して逐語録化し、逐次分析を行っている。 また、先にパイロット調査として実施した1事例の母親を対象とした面接内容について、質的帰納的分析を行った。録音された面接内容を逐語録化し、意味のある文節ごとにラベルをつけコードとした。コード化の際には、意味内容を変えないよう、対象者の語った言葉をそのまま用いた。これらのコードを相互に比較し、類似した内容をまとめてラベルをつけ、カテゴリーとした。その結果、「子どもを連れて帰りたい想い」と「生命の危険への不安」の共存による「葛藤」、施設という選択肢に対する「施設に入れるのは嫌」「施設という選択を受け入れようとする」という相反する思い、在宅を選択する際の、「在宅の選択を正当化する」「生命の危険を覚悟」など、親の揺れ動く思いを示すカテゴリーが抽出された。また、意思決定を取り巻く要因として、「児の状況」「医療スタッフのかかわり」「環境要因」「家族背景」というカテゴリーが抽出された。医療的ケアを要する小児の親が、在宅療養への意思決定にあたって感じているこのような葛藤や気持ちの揺れ、覚悟などについて、看護師が理解することの重要性が示唆された。
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