研究概要 |
本研究は,ウィメンズヘルスの立場から,若年性乳がん女性ががんとともに生きる患者役割と女性として抱えている性役割に注目し,その問題構造を明らかにすることを目的とする.本年度は予備調査と研究参加者募集や依頼方法の検討をし,調査実施体制の調整を行った.1.予備調査として疾患と性役割に関する既存データと医療社会学における患者役割の既存調査について文献収集をいった.その結果,本研究に関する文献は看護学研究自体非常に少ない傾向にあったものの,乳がんの治療が性役割の遂行を滞らすことや当事者ではない家族やパートナーのフォローに関しての文献が散見されていた.患者役割に関しては患者役割の尺度作成によるもので本研究に関連したものは見当たらなかった.海外文献は主に[CINAHL][NLM-MEDLINE]を中心に検索した結果関連文献は10件あった.乳がん治療継続のなかでのサポートの必要性やその女性たちによる個別ケアの実践報告が主であることとそれぞれの国における文化的背景が関与していたことが特徴的であった.2.調査対象:若年性乳がん女性の参加募集に関して,web[http://www.clg.niigata-u.acjp/~ucci-/index.htmlを開設し,自発的協力者を募っている.支援者の参加募集は全国の乳がん看護認定看護師や女性センターの関係者に依頼し,承諾を得ている.3.プレ調査:若年性乳がん女性の面接調査を行った結果,[健康な母親像][母アイデンティティの揺らぎ]といった側面が表出された.支援者側への面接調査の結果,壮年期の対象者への関わりの反面,若年性乳がん女性への支援体制への不足感を抱えながらも実践に関しての困難感が見出された.これらのことは平成22年度からの本調査に発展させ,本テーマについてさらに地域性,価値観にも関連させた基本情報も分析上でも考慮していくことが示唆された.それらを踏まえ次年度の調査の精度が高められるよう,対象のおかれている状況に関して共通性と個別性に関わる要因を追求していく.
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