1. 研究目的 1)分娩早期から赤ちゃんのほしがるサインにあわせて、制限なく頻回に直接母乳哺育を行っている褥婦群(以下、頻回直母群という)と、施設で定められた授乳時間に直接母乳哺育をしている褥婦群(似下、時間直母群という)を対象に、産後1日、産後3日、産後1ヶ月における直接母乳哺育前後での疲労度・ストレス度・児への愛着形成・母乳育児自己効力感に差がないかを検証する。2)頻回直母群と時間直母群を対象に、産後1日、産後3日における15時から17時の直接母乳哺育前後の疲労度・ストレス度の変化と、唾液中コルチゾール・クロモグラニンAによる身体的・心理的ストレスの変化を明らかにする。 2. 結果 1)頻回直母群は、時間直母群と比較すると、産後1日・3日の直母前後の疲労度とストレス度が高かった。2)産後1・2・3日における直母回数は、3時期ともに頻回直母群が有意に高く、1回の直母時間は、産後1・3日ともに頻回直母群が有意に高かった。3)睡眠時間は、産後1・3日ともに時間直母群が有意に多かったが、産後1日の睡眠の質には、差はなかった。産後3日での睡眠の質は、時間直母群が高かった。4)「児が吸い付いてくれない」「児にくわえさせることができない」については、産後1・3日ともに時間直母群が有意に高かった。5)母乳分泌量は産後1日・3日・1ヶ月の3時期において頻回直母群が高く、母乳不足感は3時期において時間直母群が高かった。6)母乳育児自己効力感は産後1日・3日・1ヶ月の3時期において頻回直母群が高かった。7)愛着尺度・Stai1・Stai2・EPDSについては、頻回直母群・時間直母群における差はなかった。8)直母前後のコルチゾール値とクロモグラニンA値は、産後1・3日ともに、頻回直母群と時間直母群に差はなかった。9)頻回直母群における産後1日の直母前コルチゾール値は、直母後コルチゾール値に比べて有意に高く、頻回直母群における産後1日のコルチゾール値は直母によって低下することが分かった。
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