研究概要 |
本研究の目的は,母乳外来での助産ケアの質を評価するための尺度を開発し,母乳外来で必要とされるケアの質を保証するためのケア基準や体制を明らかにすることである。母乳外来での助産ケアの質を評価するための調査表は、助産師版と母親版の2つを作成した。対象者数の関係から構成概念妥当性は検討できなかったが、それぞれ13項目からなる調査表であり、助産師用と母親用を付き合わせる事で、ケア提供者とケアの受け手との相違が明らかとなる。質を保証するためのケア基準・体制の指標は、助産師に必要とされる能力と、ケア基準の2つを検討した。助産師に必要とされる知識、技術、態度は、調査結果から、「専門的知識・技術・判断力」、「リスクへの対応・異常発生時の対処能力」、「関係部署との連携能力」、「対象を理解し、承認・支持支援するための包容力・忍耐力・人間力」、「育児の現状・環境を理解し、生活に密着した助言を行うための生活力」が要求されることが明らかとなった。ケア基準では、母子の健康状態の診断は、医学的診断基準に準ずる(詳細は省略)こと。乳房の状態判断として注意を要する所見は、乳腺炎と乳癌であり、超音波診断装置を用いて、乳腺の状況を見ることも有用であること。そのためには、乳腺所見を熟知しておくことと、対象者には、助産師の役割範囲として乳癌の診断はできないことを伝え、助産師が、正常逸脱所見と判断した場合は、すみやかに専門医に相談し対応することを明記した。乳腺炎については、社団法人日本助産師会の母乳育児支援ガイドライン検討委員会が2100年に作成した乳腺炎のフローチャートを活用する。また、心理社会面の基準作成については、今後多くの例事例分析により明らかにしていく必要がある。
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