本研究では、福島県に焦点を絞り、地方都市における小児救急看護の限所を把握し、地域の特性や現場で働く看護師の実践に即した意見を考慮した看護支援プログラムの開発を目的としている。そこで、今年度の計画として福島県における小児救急医療と小児救急看護の地区診断を行った。 その地区診断の結果として、実際に福島市の第一・二次救急を扱う病院を対象とした調査では、救急外来を受診した15歳未満の子どもは全体の27.5%を占めていた。これらの患児の多くは第二次救急ではなく、軽症ですぐに自宅に帰ることが出来る一次救急の患児であったと報告されている。これを、医師・看護師それぞれ1名で対応している病院が多く、非常に厳しい状況にある事がわかった。また、福島県内の救急外来の医師と看護師は必ずしも小児看護の経験があるわけではなく、福島県内の看護師からも第一次小児救急看護の現場で子どもと家族への対応が困難であるという意見があり、子どもと家族への対応に困難を抱いていることが分かった。 福島県の特徴として全国第3位の広い県土を有しており、一医療施設の診療地区が広く、さらに小児科医の人口割合が全国平均の8.4人に比べ7.1人と少ないという現状がある。そのため、福島県内の子どもと家族は救急外来のある病院を受診するまでに多くの時間が掛かることや、小児科医のいる救急外来を受診することが困難な状況にある。そのため、福島県内の救急外来の看護師の役割の役割として、子どもが病気になった際に家庭で対処する能力を高める関わりが重要である事が地区診断の結果から明らかになった。
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