本研究では、福島県に焦点を絞り、地方都市における小児救急看護の限所を把握し、地域の特性や現場で働く看護師の実践に即した意見を考慮した看護支援プログラムの開発を目的としている。昨年度は福島県の地区診断を行い、今年度は福島県内の第二次救急指定病院の看護師へのフォーカスグループインタビューと福島県内の保育所及び幼稚園に通う子どもの保護者へのアンケート調査が終了し、現在分析中である。 看護師のフォーカスグループインタビューの分析結果では「広範囲の医療圏で小児に不慣れな医師と看護師が対応している」「電話で診療可能な施設を紹介し、受診の判断の手助けを行う」「子どもの重症度を見極めながら、母親に子どもが病気になった際の対応方法を説明する」「電話相談での受診の判断に悩みながらも、受診後は子どもを直接見て、重症度を見極めながら、その場で具体的に説明する事を心がけている」「子どもの看護の経験・育児経験も様々であり、小児看護の研修の有無も様々である」「子どものケアに慣れない看護師が多忙な中でケアを行い、学習の機会も少ない」「親は正しい知識が乏しく、子どもに症状が出ると不安ですぐに救急外来を受診する」「親は昼間に受診しにくい状況であり、さらに受診を薦める環境である」「救急時だけではなく、健康な時から病気になった時の対応方法を説明する」以上の9つのカテゴリーが導き出された。この結果から、看護師の学習機会の確保と保護者への救急時の家庭看護方法の知識の講習が必要であると考えられる。 保護者へのアンケート調査結果では家族形態や自宅から病院までの所要時間等の違いでの受診行動の有違差は認められなく、保護者は救急外来は救急対処の場所ではなく、通常の完壁な治療を行う場所との認識が強い事が明らかになった。今後は、これらの結果と保護者のインタビューの結果から看護プログラムの開発を進めていく予定である。
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