本研究プロジェクトは、周産期医療ケアシステムが効率的かつ有効に機能するよう、その一翼を担う母体・胎児集中治療室(maternal-fetal intensive care unit : MFICU)の運営に焦点を当てたものである。本研究プロジェクトの目的は、まず、MFICU看護の問題点と課題を明らかにし、ケアの特殊性、専門性を明確にする。さらに、MFICUのケアに必要な専門的能力を明らかにし、母体・胎児集中ケア認定看護師養成プログラムの基礎となりうる研修プログラムを開発することにある。その中で、本研究の目的は、国内各地のMFICUの看護管理者に対して現状における課題と、MFICUスタッフに必要とされる臨床的能力とその研修内容について明らかにすることである。 平成21年度は、看護職の視点で、現在MFICUが抱える課題を明らかにするため、全国のMFICUの看護管理者に対し、MFICU管理上の困難点や工夫などに関して質問紙による実態調査を行った。31施設(41%)の看護管理者から回答があり、MFICUの看護スタッフのストレスや、MFICUの看護管理上の困難点や課題、MFICUスタッフに求められる能力とその育成のための研修会の実態などの概要が明らかとなった。今年度は、調査結果を詳細に分析し、第12回日本母性看護学会学術集会および第51回日本母性衛生学会学術集会で発表した。さらに、ホームページも開設し、広く公表した。 しかし、各MFICUにおける困難さの相違の要因や、MFICU看護管理の困難さや必要とされる能力に関連して、通常の産科病棟でのハイリスク妊婦看護とMFICU看護の相違についてはなお調査が必要である。研究の第2段階として、施設の特徴や背景をふまえた困難さ、MFICUであることの困難さや必要とされる能力を明らかにするため、施設見学を含めた面接調査を現在までに5施設に行った。
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