平成21年度には、正常妊婦17人、子宮頸管無力症妊婦13人に対し、妊娠16週~19週(第1期)、妊娠24週~28週(第2期)、妊娠30週~34週(第3期)、妊娠36週以降(第4期)に、データ収集を実施した。データ収集は、(1)骨盤外計測(稜間径、棘間径、大転子間径)、(2)会陰腱中心の長さ、(3)骨盤底筋収縮力、診療録からの分娩所要時間、出生時体重、分娩時妊娠週数である。(3)は子宮頸管無力症妊婦には第2期以降に実施した。データ分析対象は正常妊婦14人、子宮頸管無力症妊婦10人とした。 現在までに明らかになった結果は、以下のとおりである。 1. 子宮頸管無力症妊婦のうち、1人は妊娠19週で死産した。他の1人は妊娠22週で他院に緊急搬送され、妊娠30週で早産した。 2. 正常妊婦では初産婦6人、経産婦8人、子宮頸管無力症妊婦では、初産婦1人、経産婦9人であった。子宮頸管無力症妊婦の初産婦は、過去2回妊娠16週で死産の既往があった。今回の妊娠で初めて子宮頸管無力症と診断されたのは2人であり、今回10人全員が子宮頸管縫縮術を受けていた。 3. 正常妊婦、子宮頸管無力症妊婦の体重、身長、分娩週数、出生時児体重に差はなかった。 4. 妊娠経過に伴って、正常妊婦と子宮頸管無力症妊婦ともに、会陰腱中が伸展する。しかし伸展は、正常妊婦が子宮頸管無力症妊婦を上回っていた。 5. 骨盤底筋収縮力は、正常妊婦は妊娠の進行に係わらずほとんど変化がなかった。しかし、子宮頸管無力症妊婦は軽度の上昇を見た。 今後詳細に分析し、妊娠経過での骨盤底筋力等の変化、正常妊婦と子宮頸管無力症妊婦の比較を実施していく。
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